03年 6月14日 
   第1回 初めての能楽 @ 宝生能楽堂

 (その1)

自分が大学時代から楽しんでいる「能」の楽しさを、他の人とも
分かち合いたい!という白田さんのプロデュースで開催された
能楽ドットリテラシー。 6月14日に、第1回が開催されました。

僕自身、能はまったくの初めて。白田さんの企画があったからこそ、
行ってみようかな?と思ったのですが、参加してみて大興奮! 
そう、能って、興奮するものなのでした!

reported by 広石

1)白田さんにとっての「能楽の魅力」&「観るポイント」

2)アフターミーティングでの会話より

3)初めて観た参加者から「初めて観る皆さんへ」

DETA

日時 : 2003年6月14日(土) 12:00〜
プロデューサー&インタプリター 白田剛さん

スケジュール
__12:00〜13:00 事前ガイド
__13:00〜17:00 能楽鑑賞 @宝生能楽堂
__17:00〜17:40 アフターミーティング

宝生能楽堂のホームページ

当日の演目

  • 氷室
  • (狂言)清水
  • 歌占(うたうら)
  • 杜若(かきつばた)
  • (狂言)竹の子
  • 土蝪(つちぐも)

今回は、白田さんの都合もあり、「杜若」までみました。


1)白田さんにとっての「能楽の魅力」&「観るポイント」

白田さんは、大学時代に能の魅力にはまり、多いときは 月1回は能楽堂に通っていたという。 まだ20代前半という若い人が能?と思う方もいるかもしれない。
参加者も、そこから質問しはじめた

(右写真 手前中央が白田さん)

Q:白田さんは、なぜ、能を見始めたのですか?

最初は、三島由紀夫の「近代能楽集」を読んで、興味をもったんです。
大学一年の時、松岡心平先生(「能って何?」などの著作あり)の授業で能を観に行って、これは面白いと思ったんですよね。

Q:台詞とか、わかりました?

テキストよりも、ビジュアル(服飾、舞)と、音にはまったんですよね。
服の華やかさ、音階が西洋音楽と違うし、西洋的にいうと不協和音だけの世界に驚いたんですよね。  初めて観た日の夜に、どんどんと舞台の様子や音が頭から湧き出て止まらなくなった。後で聞くと、それは典型的な「はまる」形だそうです。

能には必ず「舞」があるのですが、能の基本は「踊り」だと思います。
よく祭りなどで、神様に捧げる 踊りがありますよね。そういう踊る本能から始まっていると思うのです。最初は「猿楽」という大道芸みたいなものから始まって いるので、基本はエンタティンメントなんですよ。

テキストについては、はまってからは、当日の演目の台本を手元に用意 しながら観て、台詞 などで 気になったり、わからない時は、チェックする ようにしています。 今日も用意しています。

Q:今日は寝不足なので、眠くならないか心配なのだけど・・・

僕も寝そうになる時、ありますよ。能の魅力の一つは「夢幻」にあります。
能の内容は、リアルな世界と夢の世界が一体となるものが多いので、
「あぁ、僕も半分夢、半分目覚めた世界にいたなぁ」
と思って、楽しんでます。

Q:能と言えば、面ですが、面はみんなかぶっているのですか?

能では面(おもて)を「かぶる」とは言わず、「かける」と言います。ちょうど壁にものをかけるように面をかけるからでしょうか。演目紹介にシテ、ワキ、ツレとありますが、主役のシテは基本的に面をかけ、ツレもかけることが多いです。

シテが面をかけずに出てくる能を直面(ひためん)の能と言います。

シテは、夢の世界の人、ワキは、現(うつつ)の世界の人なんですよ。現の人が夢の人に出会う、一緒にいるというのが、すごく面白いところで、好きなんですよ。 (ツレも、シテ方の人が演じます。)

それを思いっきり味わうために、僕はいつも、舞台の右横(脇正面)からみるんですよ。

Q:正面から観るものではないのですか?

普通は正面からですね。(笑)

能の舞台というは、図のような形をしていて、舞台から左に「橋掛り」という道があります。その先の出入口とあるところに、揚幕があり、その幕を通って、舞台に出入りします。

この橋掛りには、もう一つの意味があります。舞台の世界と「あちらの世界」「夢の世界」をつなぐ架け橋なのです。
演目によっては、橋掛りから舞台の世界に語りかけたりします。すると、あの席だと、まさに、夢と現の間で、舞台の世界に入り込んでいく感じがして、これがいいんですよね!

Q:今日の演目って多いんですね。しかも、全部で6時間近くあるとは・・・

能の演目は、番組の構成から、「神・男・女・狂・鬼」の5つに分類できる んですよ。 本来は五演目で一セットなんですよね。

  • 神・一番目物:脇能物(神能)---神様が出てくる話や、めでたい話。
  • 男・二番目物:修羅物---武士が死後、生前の戦いや、苦しみを語る。
  • 女・三番目物:---女性をシテとし、舞が中心。
  • 狂・四番目物:---生き別れた親子の再会などのドラマ
  • 鬼・五番目物:切能---鬼のように異界の者が登場する。娯楽性が高い。

現代では、5つセットというのはめったにないので、観る前に演目がどれにあたるか、ガイドブックなどでチェックするのがお勧めです。
鬼がエンタテイメント性が高いので、初心者にはお勧めですね。
今日は、氷室=神、歌占=狂、杜若=狂、土蜘=鬼 だから、
順番違いますしね。

Q:狂言というのは、演目に入らないんですか?

狂言は能舞台の合間に、軽いコメディのような舞台をするんです。
能は歌や台詞が古い言葉で決まっていますが、狂言はかなり自由で、その時々の言葉を使うんです。だから、野村萬斎さんのように、現代劇などに出たりする人が出てくるんですよね。

あと、能の舞台の中にも、狂言師は出てきます。
例えば、「氷室」の演者紹介に、「間(アイ)」というのがありますよね。
これは狂言師なんです。

神や鬼の舞台は、前半と後半でシテが着替えることが多いのですが、 その間に出てきて、前半のあらすじを紹介してくれるんです。
で、狂言は、その時々の言葉で話してもいい。 たぶん、江戸時代くらいの人も、言葉や台詞はよくわからなかったのでしょうね。

間は、単にあらすじというのでもなく、後半につながるポイントを話したり、笑いをとったり、また、サイドストーリー的な独自の話をすることもあります。
途中に出てきて、あらすじを話す・・・というのは、能独自ですね。

Q:「狂言まわし」という言葉は、 能からなんですね!
___狂言師は、主役のシテになる前の若手がやるのですか?

いや、能の演じ手は、シテ方、ワキ方、囃(はやし)方、狂言方という それぞれ別の職域(ギルドのようなもの)なんです。

狂言とシテは、実際に観るとわかりますが、発声の仕方や 姿勢も違います。単なる劇上の役割分担ではないんです。


事前ガイドを終えて・・・

  • 古典の言葉の響きが好きだったので、その点が楽しみ。
    歌舞伎を観て、衣装の見事さに感動したので、ビジュアルから
    入ったという白田さんの話は、わかるわかる!って感じ。 (佐藤)
  • 白田さんは「踊りが能の基本だ」と話をしていたが、能というと
    動きが小さいイメージがあって、あれが「踊り」といえるのかな?と
    思った。  今回参加することになって、会社の人と話していると、
    能楽堂に通っている 人がいることがわかって、意外に根付いている
    のかな?と思って、楽しみにしてきた。 (喜多)

  • これまで「能」に関心なかったけど、話をきいて 結構、シェークスピア劇に
    近いのではないか?と興味が沸いてきた。
    シェークスピアも、幽霊が出てきたり、道化がいたりするので、
    東西を問わず、舞台の要素は共通しているんだな、と思った。 (広石)

そして、いよいよ観劇へ!

注) は、「剛の能楽ワンポイント講座」へのリンクです。


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